子どもの"科学離れ"が深刻化していますが、これは教科学習にとどまらず、科学的思考力の低下に通じる重要な問題です。科学的思考は論理的思考に通じるものであり、そうした思考の「芽生え」は早期に始まります。この時期にこそ、子どもたちの「思考する力」を"解発"すべく学習支援、科学教育が必要であると考えます。科学離れの理由のひとつに、対象を「実感として捉え難い」ことが考えられます。子どもが現象を実感として捉えるためには、子ども自身の感覚・体験に直結する教材をつくる必要があります。また、思考を育む動機づけとして、より身近な現象をとりあげ、現象に興味・関心を持たせることが大切です。そこで、感覚に直結する教材として、また、より身近な教材として、私たちが扱う心理的事象、特に、知覚現象は、ひとつの支援ツールになりうるのではないかと考えています。知覚現象は子どもの五感による体験事象であり、この体験を通して"こころ"の所在や働きを「考える」きっかけをつくることがねらいです。

池田まさみ 
 
 
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