(終了しました)

プロジェクトT 第14回セミナー 「脳科学と心の発達」
 
「人は出来事をどのように記憶し想起するか
   −幼児期〜老年期までの想起のメカニズム−」

●日時     2005年12月17日 (土)  午後1:00 - 午後5:20

●場所      お茶の水女子大学 生活科学部3階306室

●講演者およびテーマ

・講演1
  午後1:00‐2:30
 上原泉氏(清泉女学院大学)
 「幼児期のエピソード記憶と記憶の発達:縦断的方法と横断的方法による検討」
 
講演者による要旨:
 我々が過去の個人的出来事について思い出そうとしたとき,3,4歳以前の
乳幼児期の出来事を自覚的に想起することは難しい。これは乳幼児健忘と称さ
れ(Freud, 1901; Schactel, 1947),古くから,その原因について論じられて
きたが,いまだに解明されていない。この原因の解明には,長期にわたり,同
じ個人を乳幼児期から追跡し,個々のエピソードをどのように記憶し,後にど
う想起するのかをみるのがよいと考え,縦断的な事例研究に着手した。本発表
では,最初に,従来の乳幼児の記憶研究について概観し,エピソード記憶につ
いてこれまでどのようにとらえられてきたかを簡単に紹介する。その上で,現
在進行中である縦断的調査結果の一部を,実施方法とともに示したい。最後
に,3,4歳の子どもを中心に既に実施した,エピソード記憶や他の認知発達
に関する実験・調査結果と比較検討したい。

・講演2 午後2:40‐4:10
 佐久間尚子氏(東京都老人総合研究所)
 「単語心像性の測定による語彙データベースの作成と高齢者の語彙機能」
   
講演者による要旨:
 健常者対象の実験的研究でも認知症や失語症などを対象とする神経心理学的
研究でも,言語機能の特性や障害の特徴を捉えるためには単語属性の資料が必
要である。我々は,単語の意味に深く関連し,言語や記憶研究に重要な単語属
性の一つ「心像性」に関し,約5万語の評定実験を行い,データベースを構築
して,これを利用した研究を展開している。本セミナーではこのデータベース
の構築過程と特徴,および健常高齢者の語彙機能に応用した研究例について報
告する。高齢者の言語機能は処理速度やエピソード記憶に比べ保たれやすいと
言われる。しかし,健康な人でも高齢になるほど言葉が思い出しにくくなり,
特に人名が困難になると言われている。そこで,人名や地名と生物や人工物な
ど48カテゴリを用いて語想起実験を行い、高齢者と若年者のことばの想起能力
を比較した。また,生成の時間や内容の分析を行い,語想起困難の要因を検討
した。これらの結果を中心に報告する。

・全体討論  午後4:20‐5:20  

●主催 : お茶の水女子大学 21世紀COEプログラム「誕生から死までの人
  間発達科学」              
 共催   : 玉川大学 21世紀COEプログラム「全人的人間科学プログラム」
  問い合せ先:pro1-coe@cc.ocha.ac.jp
 
●会事前申し込みは原則として不要ですが、
 資料準備の都合上、特に学外からご参加の場合には、
 できるだけpro1-coe@cc.ocha.ac.jpまでお知らせ下さい。

●ポスター


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