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第13回玉川大学・お茶の水女子大学COE合同セミナー
−脳科学と心の発達−

●日程:平成17年10月15日(土)

●時間:午後13:00〜17:00

●場所:玉川大学大学研究室棟B104号室

●テーマ:脳と心の可塑性

●プログラム

<第一講演(午後13:00〜14:30)>
講演者:池谷裕二先生
      (東京大学大学院薬学系研究科薬品作用学教室・助手)
題目「大脳皮質に潜む常同性
	─ 外界からの入力がないときでも常に活動する脳−」
要旨:
 脳は外部情報が与えられなくても自発的に活動している。こうした
外界から孤立した神経細胞の活動は無用なノイズとして解釈されてき
た。カルシウムイメージングを用いて大脳皮質スライス標本から大規
模な神経活動記録を行い、自発活動の時空パターンを数理解析したと
ころ、その構造には偶発では説明できない数の繰り返し配列(シーク
エンス)が含まれていることが判明した。したがって、静的な受動シ
ステムとしてではなく、内発的に情報を生み出す「自発創生システ
ム」として大脳皮質を捉えなおす必要がある。シークエンスを形成す
る神経活動は、古典的なホップフィールド回路とマカロック・ピッツ
モデルを組み合わせると、高い正確性をもって予測できることがわ
かった。

<第二講演(午後14:40〜16:10)>
講演者:西村 洋先生
(大阪大学大学院医学系研究科感覚器外科学耳鼻咽喉科・助手)
題目「Sign language "heard" in the auditory cortex」
要旨:
  側頭葉上部は聴覚野と呼ばれており、聴覚に関係した領域と考えられ
ていたが、今回の様に幼い頃より聴覚を失い代わりに手話を主たるコ
ミニュケーション手段として使ってきた被検者においては、健常人に
おいては聴覚野であった脳皮質が視覚的な入力を受ける手話の処理に
携わっていると考えられる。また、人工内耳埋め込み後に音を聞かせ
ると一次聴覚野の活動は見られたことから、たとえ長期間は聴覚信号
がなくとも一次野までの経路は保存されていることがわかる。手話に
おける賦活に於いては一次野は賦活されずに聴覚連合野のみの賦活を
見た。手話刺激ではサブトラクションを行ったため視覚野の賦活を確
認することはできなかったが、無意味な手の動きにて視覚野が賦活す
ることを確認しており、視覚的な入力を持つ手話のため、視覚野から
この領域への強い神経連絡がこの被検者に於いては形成されているこ
とが推測される。視覚野においては盲の人において点字にて視覚野が
賦活されるという脳の可塑性が報告されているが、今回の研究によっ
て聴覚野においてもこのような可塑性が示された。

<全体討論(午後16:20〜17:00)>

    
●ポスター


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●主催: 玉川大学 21世紀COEプログラム「全人的人間科学プログラム」
   共催:   お茶の水女子大学 21世紀COEプログラム「誕生から死までの人間発達科学」