○木村文香・坂元 章・鈴木 佳苗・足立 にれか・坂元 桂
(お茶の水女子大学大学院人間文化研究科)
key words:国際理解,因子構造,信頼性
一連発表の (1)で報告された尺度に関して,本稿では,b)国際理解測定尺度の因子構造の検討,c)信頼性(再検査信頼性,内的整合性)の検討を報告する。尺度は4つの基本目標と9つの具体的目標で構成されているため,確認的因子分析を用いて,因子構造の確認を行った。さらに,その結果に基づき,信頼性の検討を行った。
被調査者 中学2年(1校;全102名,男子36名,女子65名,不明1名)・高校1〜3年(3校;全727名,男子304名,女子423名)・大学1〜4年(3校;全285名,男子142名,女子143名)の生徒・学生1114名(男子482名,女子631名,不明1名)。
尺度の構成 尺度の詳細は一連発表の(1)を参照。基本目標と具体的目標は以下のようになっていた。
(1)人権の尊重 具体的目標は,@他国民・他民族に対する感情(8項目),A平等意識(8項目)。
(2)他国文化の理解 具体的目標は,@他の文化の理解(10項目),A文化への関心(8項目),B共感性(6項目)。
(3)外国語の理解 具体的目標は,@理解(8項目),A関心(8項目)。
(4)世界連帯意識の育成 具体的目標は,@人類共通課題への認識(10項目),A国際機構への協力(6項目)。
各質問項目は,5件法で実施された。
手続き 毎日の生活や考え方に関する調査として,調査を実施した。調査は,授業時間中に一斉に行われた。
G‐P分析,および,識別力について検討し,全ての項目が有効であることを確認した上で,以下の分析を行なった。
ここでは,因子構造を検討するために,確認的因子分析を行なった。まず,事前に想定していた因子構造モデル(4つの基本目標が総計9個の具体的目標を下位目標としてそれぞれもっているモデル)について検討したが,解が求められなかった。そこで,いくつかの修正モデルの適合度を検討した結果,最終的に適合度が最も高かったものは,図1のモデルであった。このモデルのGFIは.67,CFIは.70,はRMSEA.06であった(Jaccard & Wan 1996)。
当初,(U)他国文化の理解の下位項目((1)他の文化の理解,(2)文化への関心,(3)共感性),および,(V)外国語の理解の下位項目((1)理解,(2)関心)を用いてきたが,この分析結果では, (U)他国文化の理解,および,(V)外国語の理解それぞれの下位項目は独立したものとしてみなさないと判定されたため,以下の分析では,この2つの基本目標の下位項目を独立したものとして用いないこととした。
再検査信頼性 国際理解測定尺度の時間的安定性について検討するため,1回目の実施から半年後,同様の質問紙を,前述の被調査者のうち,大学生26名(男性9名,女性17名;有効回答数)に実施した。国際理解測定尺度全72項目の再検査信頼性係数は.94であり,4つの基本目標,さらに,その下位の具体的目標の相関係数も高い値を示した(表1)。
内的整合性 国際理解測定尺度全72項目のα係数は,.95であった。また,基本目標,および,具体的目標別のα係数も高い値を示した(表1)。
以上の結果から,国際理解測定尺度は,十分な時間的安定性および内的整合性を備えた信頼性の高い尺度であると言える。
表1 再検査信頼性係数とα係数
|
再検査信頼性係数 |
α係数 | |
|
国際理解測定尺度(72) |
.94 |
.95 |
|
(T) 人権の尊重(16) |
.85 |
.87 |
|
(1)他国民・他民族に対する感情(8) |
.86 |
.86 |
|
(2)平等意識(8) |
.82 |
.76 |
|
(U) 他国文化の理解(24) |
.84 |
.87 |
|
(V) 外国語の理解(16) |
.80 |
.88 |
|
(W) 世界連帯意識(16) |
.75 |
.85 |
|
(1)人類共通課題への関心(10) |
.78 |
.74 |
|
(2)国際機構への協力的態度(6) |
.67 |
.80 |
註:再検査信頼性係数は,欠損値がない被調査者について求めた。
Jaccard, J. & Wan, C. K. 1996 Lisrel approaches to interaction effects in multiple regression. California: Sage.