テレビゲーム使用と社会性の因果関係
−使用状況からの検討−

 

木村文香 相良順子 坂元章

(お茶の水女子大学大学院人間文化研究科)

 

テレビゲーム(以後「TVゲーム」)での遊びは、社会性に悪影響を及ぼすという社会通念がある。TVゲームで遊んでいる際には、他者との相互作用が減るため、それによって社会性に悪影響が与えられると考えられているからである。相良・坂元・稲葉・坂元(1995)や、木村・坂元・相良・坂元・稲葉(1998)は2波のパネル調査を行い、交差遅れモデルを用いてTVゲーム使用と社会性の間の因果関係を検討し、結果として、彼女らは上記のような社会通念が必ずしも支持できるものではないことを示した。しかし、この結果に対して、彼女らのデータには、TVゲームを1人で使用するのではなく、友達と一緒に使用している場合も含まれており、その場合には相互作用が行なわれているからだという反論もありうる。そこで、本研究では、前述の研究データをさらに掘り下げ、TVゲームを使用するときの状況(すなわち、TVゲームを1人で使用するか、友達と使用するか)が、TVゲーム使用が社会性に及ぼす影響を調整するかどうかを検討した。


方 法

調査方法と被調査者

 調査は同一質問紙を用いて、5ヶ月のインターバルを空け、2回行われた。両時点で回答が得られた、東京都内の私立男子高校の生徒198名、金沢工業大学男子学生177名を有効回答として用いた。

質問紙の構成 


結果と考察

使用状況は、「1.たいてい友だちと」「2.どちらかというと友だちと」「3.どちらかというとひとりで」「4.たいていひとりで」について、それぞれ順に、全体では、18.5%、22.3%、32.7%、26.5%、高校では、12.9%、18.5%、34.7%、32.3%、大学では、25.8%、27.0%、29.2%、18.0%であった。

これらの使用状況を測定した変数を連続変数ととらえ、それぞれ1回目に測定した使用状況、使用量、使用状況×使用量の交互作用を独立変数とし、2回目に測定した各社会性変数を従属変数、1回目に測定した社会性変数を統制変数として調整的回帰分析を行った。分析は全体と校種別とで行い、全体の際には校種を統制した。その結果、全体、校種別のいずれにおいても、交互作用効果は検出されなかった。つまり、TVゲーム遊びの状況によって、TVゲーム使用の社会性に対する影響が異なるとはいえない、という結果であった。このように、本研究の結果は、TVゲームの使用状況が、TVゲームが社会性に及ぼす影響を調整していることを示しておらず、先述した、相良ら(1995)や木村ら(1998)に対する反論を支持しないものといえる。

ただし、本研究で用いた使用状況の内容は、友達と一緒か否か、という点に限定されており、十分に網羅的なものとはいえない。この他にも、一緒に遊ぶ友達の数や親しさの程度、一緒に遊ぶ相手の性質などの要素も考慮せねばならないと思われる。今後は、これらの要素を検討に含めていく必要がある。


引用文献

木村文香・坂元章・相良順子・坂元桂・稲葉哲郎,1998,テレビゲームとメディアの使用量と社会性の因果関係 日本社会心理学会第39回大会発表論文集,184-185.

相良順子・坂元章・稲葉哲郎・坂元桂,1995,コンピュータおよびテレビゲームの使用とパーソナリティの因果関係―高校生と大学生に対するパネル調査―日本心理学会第59回大会発表論文集,186.



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